前の記事で殯儀館(Bìnyíguǎn=公営斎場)をまとめました。

引き続き、遺族の同意を得て撮影しプライバシーに配慮しつつ
今回小生が参列した台湾の納棺を紹介します。
日取りは旧暦で決定
医師による死亡証明がなされた後、ご遺体は斎場へ運び込まれ
一旦斎場内の安置所に留め置かれます。

その後、遺族が依頼する師父(Shī fù=お坊さん)が
故人の生年月日から一連葬儀の日取りを農暦で導き出し
納棺 → 読経 → 出棺の日時が決まります。
入殮=納棺

日取り確定後、こちらも遺族が依頼する専門の葬儀業者の先導で
遺族が参列するなか入殮(Rùliàn=納棺)の儀式が行われます。
業者がご遺体を貨車に載せて安置所から「入殮室」内に移し
遺族が師父と共に中に入り念仏を唱えます。

その後遺族は一旦「入殮室」の外で待機、業者がご遺体を棺に移し
死に化粧を施して棺の中に花を敷き詰めてくれます。
改めて遺族が「入殮室」に入り再度念仏を唱えたうえで
遺族皆で故人に対し安心してあの世へ旅立つよう伝え
最後に一人ひとり順番に故人に声をかけ想いを伝えます。
この時、故人に縁のある物を棺の中に入れてOKとのことでしたので
従前、福岡県小郡市にあるカエルと癌切不動明王で有名な
如意輪寺で購入していたお守りを謹んで納めました。

「入殮室」のドアに張り紙で注意書きされている通り
後日棺ごと火葬されるため、棺の中に燃えない物を入れてはいけません。

最後に棺の蓋を締めて納棺の儀式は終了。
業者がほとんどの作業を遺族の代わりに行ってくれるので
遺族は故人に想いを馳せ送り出すことだけに専念できます。
棺を安置
納棺後、斎場から割り当てられた室内の区画へ棺と共に移動し

奥のスペースに棺を安置してカーテンで仕切り
業者がカーテンの前に写真のような祭壇をこしらえてくれます。

6日後の出棺まで遺族は8:00~17:00の間この場所に陣取り
故人に縁ある人の参拝を受けたり次の儀式の段取りをします。
祭壇には遺影や位牌、花などが置かれますが
台南市立殯儀館は室内の空気をきれいに保つため
お線香を立てる香炉だけは建物の外に置いてあります。

合掌、礼拝。
お金を燃やす!?
ここで日本にはない特徴ある習俗を一つ紹介します。
台湾では故人が極楽で生活に困らないようにお金を燃やして供養します。
お金と言っても台湾の宗教行事でよく目にする
写真のような金銀紙(Jīnyín zhǐ)だったり

供養用に作られた新台湾ドルや米ドルを模した紙に加え

元寶(Yuánbǎo=金塊)も含め建物の外にある焼却炉に投げ入れ

お札を模した紙を一心不乱に燃やしていきます。

日本では「お金はあの世に持っていけない」という現実や
極楽は金銭欲などの煩悩が無い場所であるという考えからか
故人とお金を直接結びつけるようなことは忌避されますが
「お金は大事」と考える漢民族のユニークな習俗です。
あとがき

故人や遺族の意に反して契約書に書かれていないサービスを行い
費用を請求する非合法の葬儀業者に対し注意喚起がなされています。
人の弱みに付け込み悪銭を貪る業者には必ず天罰が下ることでしょう。
天網恢恢疎にして漏らさず
天の張る網は広くて一見目が粗いように見えるが
悪人を網の目から漏らすことはない。
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