台湾の素食(ベジタリアンフード)を紹介

台湾の文化

哈囉〜(Hā luó=台湾人がよく使うフランクな挨拶言葉。英語のHelloの意)春風です。

最近読んだ本で、ビーフカレーに関する内容が目からウロコでした。

本記事では宗教的禁忌(タブー)に触れながら

台湾の素食(Sùshí=ベジタリアンフード)文化を紹介します。

ビーフカレーは日本で生まれた?

作者の井沢元彦氏によると、ビーフカレーは日本人の発想で生まれたとか。

明治初期にイギリスからカレーが日本に伝わって以降

味に敏感な日本独自の研究と改良が成され

同様にイギリスから伝わったシチューのルーをカレーに替え

牛肉を入れて食すビーフカレーが主流となったそうです。

例えば、日本にはるばるやってきたインド人の友人に

日本のビーフカレーをごちそう、異文化交流で興味深い…

なんて事態には注意が必要です。

宗教的禁忌(タブー)

カレー発祥の地インドでは、国民の8割以上がヒンズー教徒です。

ヒンズー教徒は、牛は神の使いで神聖な生き物として崇めており

また、豚肉も不浄な生き物と考えられているため

これらの肉を食するのは、宗教的禁忌(タブー)として避けられています。

インド人に日本のカレーをごちそうする場合は

無難に野菜カレーを選びましょう。

宗教に寛容な日本人

そもそも、宗教を心の拠り所にして日々意識して生活する日本人は少なく

どんな神様の存在も認めるという懐深い独特の宗教観を持っています。

古来から日本にある神道はまさにその典型で、八百万の神(やおよろずのかみ)

山の神様や水の神様など、神々は様々な場所に宿るという考えが根強く残っています。

一方で、宗教に対して寛容であるあまり宗教的禁忌にも疎いため

前段のビーフカレーがいかにも日本人らしいとは納得がいきます。

殺生禁止

前置きが長くなりましたが

別の記事で台湾の宗教について紹介した通り

台湾も多神教の国で様々な神様が廟に祀られています。

台湾の宗教事情
哈囉〜(Hā luó=台湾人がよく使うフランクな挨拶言葉。英語のHelloの意)春風です。台湾の街を歩いていると、所々に大小様々なお寺や廟がありお線香の白い煙の中で熱心にお祈りしている人を見かけます。かように台湾では宗教は民衆の生活と密接に...

中でも主要な宗教である仏教や道教では

教義で殺生(生き物をあやめること)が禁止されているため

敬虔な信者は肉類・魚類を口にせず、野菜やキノコ類を中心とした

素食(Sùshí=ベジタリアンフード)を食べます。

素食の種類

日本台湾交流協会HPへの寄稿「多様化する台湾の素食文化」によると

宗教上の理由に限らず、SDGsや健康志向の意識の高まりも相まって

台湾の全人口の1割程度が素食を実践するベジタリアンとのことです。

また、中央政府の衛生福利部食物薬物管理署によって

この素食の種類も以下の5種類に分類されています。

  1. 全素(或は純素):乳製品、卵、五葷ごくん(ネギ、タマネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ)すべてを含まない植物性食品
  2. 蛋素:基本的に全素だが、卵が含まれる
  3. 奶素:基本的に全素だが、乳製品が含まれる
  4. 蛋奶素:基本的に全素だが、乳製品や卵が含まれる
  5. 植物五辛素:植物性食品だが、五葷(五辛)が含まれる
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エイミー叔母の場合

私の妻エイミーの叔母さんが敬虔な仏教信者・ベジタリアンで

上述した分類では、2. 蛋素:基本的に全素だが、卵が含まれるにあたります。

卵を食べますが、温めてもヒヨコになることはない

雄鶏との交尾を介さない雌鶏だけで産んだ「無精卵」に限ります。

こうしたベジタリアンが外食で誤って肉や魚を口にすることがないように

ベジタリアンに特化したレストランもあります。

自助餐(Zìzhùcān=ビュッフェ)

食べたい食材を食べたい分だけお皿に盛って量り売りする形式です。

大豆などの植物性代替肉で作ったハンバーグもありました。

味は…意外に美味しい!

肉や魚を取ったお箸の接触も禁止

台湾では、日本の様に1人分ずつお皿におかずを配膳する形式ではなく

大皿におかずを盛ってそれぞれが自分のお椀におかずを取って食事します。

ベジタリアンと非ベジタリアンが一緒に食事をする際

非ベジタリアンが肉や魚を取ったお箸で野菜を取ってしまうと

お皿に盛られている野菜全てが肉や魚に触れたことになり

ベジタリアンはその野菜が食べられなくなってしまいます。

こうした事態を防ぐため

赤の矢印で示した野菜専用の公筷(Gōng kuài=取り箸)を準備し

非ベジタリアンの人は野菜を取る時だけ公筷を使って野菜を取り

ベジタリアンの人は直接自分のお箸で野菜を取って食べます。

2013年旧正月、叔母さんの家でこのシステムを初めて体験した時

ちょっとしたカルチャーショックを受けて不慣れでしたが

郷に入っては郷に従えで、今ではもう慣れて普通になりました。

牛は家族の一員

台湾南部のある一部の農家では、豚肉・鶏肉・にんにくは食べるが

牛肉は食べてはいけない家があるとの噂を聞いたことがあります。

理由は、昔農耕の際に牛を利用していたため牛が家族同然となり

尊敬の念を込めて牛肉を食べない習慣が現在でも残っているそうです。

あとがき

日本ではヴィーガンやハラールフードについての理解が薄く

食の分野でも多様性が求められている現状がありますが

その点台湾の食文化はヴィーガンやムスリムに非常にフレンドリーです。

台湾にお越しの際は、是非一度台湾素食をお試しください。

では、881〜(Bābāyī、台湾でポケベルが使われていた当時バイバイの意)

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