哈囉〜(Hā luó=台湾人がよく使うフランクな挨拶言葉。英語のHelloの意)春風です。
毎年7月が近づくとテレビのニュース番組などで
萬安演習(Wàn ān yǎnxí)実施が通知されます。
萬安演習とは、日本台湾交流協会のHPにも記載されている通り
民衆の国防意識を高め、有事の際に素早く対応できるように
毎年7月の中旬頃に実施される防空演習のことです。
本記事ではその萬安演習が台北で行われた様子を紹介し
台湾の国防意識がどのように醸成されているかを紹介します。
概要

演習は昼過ぎの13:30~14:00の30分間実施され
この間、自家用車・タクシー・バス・バイクを含め
公道を走る全ての車両は一時的に走行が禁じられ
街を歩く人も建物内で待機しなければなりません。
静寂

13時半の2分前。
ちょうど通りかかった全家(Quánjiā=ファミリーマート)にて待機。
時間になるとサイレンが鳴り響くのかと思いきや鳴らず
車両は路肩に駐車し道路を走る車の音が聞こえなくなりましたが
救急車などの緊急車両は例外です。

人の往来もゼロではないですが目に見えて少なくなった様子。

普通に歩いている人も少数いて、主要な交差点に立つ警察が
建物内に入って待機するよう声をかけ睨みをきかせています。
14時になり何もなかったかのように往来を始める人と車。

台北市は世界でも有数の人口密度と車両数を誇り
深夜でも騒音がやむことはない不夜城ですが
この30分間だけ、不気味な静けさに包まれました。
台湾の国防意識

中国共産党人民解放軍による台湾への威嚇挑発行為が日常化し
台湾海峡危機が声高に叫ばれ、いつ起こるとも知れない中
中華民国台湾の中央政府は、台湾有事の際にとるべき行動指針を
「全民国防ハンドブック」としてまとめました。

以前はただ何となくやり過ごすだけだった萬安演習も
昨今は市民参加型の国防訓練も実施されるようになり

眼前に中国共産党というリスクが地理的にも心理的にも存在する中
台湾民衆の国防に対する意識も変化もしているようです。
妻エイミー親戚の場合

病気で亡くなったジャックさんの49日法要に参列した後

妻エイミーの従姉妹レインさん家族と交流する中で
ふと台湾海峡危機の話題になったので聞いてみました。
レインさん答えて曰く
近い将来中国が台湾に侵攻してくるのではと
日がな心配しているわけではないが、万が一を考慮し
- 台湾ドル現金資産を日本円と米ドルに両替しておく
- 地金=ゴールド現物の積み立て購入
- 子ども達が海外でも生活できるように英会話スクールに通わせる
を日頃からやっていてリスクに備えている。
台湾有事の際は台湾中央政府もあてにならないと思うので
したたかに自己防衛するしかない。

公助に頼るのではなく自助でリスクヘッジするとの由。
たくましい。
あとがき

日本では台湾の萬安演習のような民衆を巻き込んだ
大規模な防災国防訓練が実施されることは皆無で
政府自衛隊が同じことをすればお花畑に住まう人々が
「戦前帝国主義への回帰だ!」と脊髄反射で反応しそう。

(↑2015年9月福岡市内にて、筆者撮影。一部加工しています)
文民が自衛隊を指揮統括するシビリアン・コントロールのある日本で
行動制限を受けたことがない日本人の私には、この静かな30分間は
自分が外国にいるという事実や国防について考えさせられました。
では、881〜(Bābāyī、台湾でポケベルが使われていた当時バイバイの意)


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